『ヘルナイト』~国内盤ブルーレイについて

■ホラー・マニアックスのシリーズとしてリリースされている『ヘルナイト』のブルーレイを購入しました。この記事では画質と音質についての感想から書いていきたいと思います。

■画質:Blu-ray.comに載っているシャウト・ファクトリー盤の評価をみると、かなり点数が低かったんですよね。で、ぼくも国内盤を購入して確認してみましたが、やっぱり低画質でしたよ。ちなみに上の画像三枚は本盤を再生して一時停止したものをデジカメで撮影したものになります。これ、ブルーレイとしては解像感があまいですよね。どれも顔のディテールが潰れかけておりますでしょ? アップの画ではそうでもありませんが、カメラが少し後ろに引いてしまうと被写体はぼやけた調子になってしまいます。★5個を満点とするならば、評価は★★☆といったところでしょうか。ただし、最初から最後までずっとよくないというわけでもなく、観ているうちにコントラスト不足やぼやけ感はそれほど気にならなくなります。雰囲気でいえばHDマスターではないDVDの画質良好のやつ、くらいの画で、我慢がならないほどではないはずです。まあ、なにしろ以前にリリースされていたDVDが結構な低画質ソフトでしたからね。それと比べれば本盤の画質は確実に改善されておりますよ。まとめますと、ブルーレイとしてはぎりぎり不合格。けれどもこれがDVDならば並の点数はある、といった感じです。

■音質:じつは画質よりも音質のほうが、印象が悪かったりするんですよね。ステレオ化していないのが不満だとかそういうことではなく、とにかく音がプア。鮮度なし、厚みなしの、何の楽しみも感じない音です。アナログ時代の二カ国語放送で原語を選択して、それをテレビ内蔵のスピーカーで聴いていたときのような、のっぺりした音。セリフについていえば吹替音声のほうがまだ少しはマシなので、これは入れてくれたのがありがたいです。ララァの声になったおかげでリンダ・ブレアがちゃんと清純派キャラに見えるのもマルですしね。

■さて、この先は映画についての感想を。本作は82年に梅田の北野劇場で初日に鑑賞しました。お客さん、いっぱいいましたよ。この時代はまだ北野劇場でもこんな内容のものを掛けていたんですよね。ロビーに入った正面にはガース邸の、たしか厚紙のディスプレイが置いてあって、雰囲気を盛り上げておりました。劇場の明かりが落ちて青背景に赤いカタカナで“ヘルナイト”とタイトルが出ると、若い女性が思わず「いや~ん」と不安げにもらして、笑いが広がったのを思い出します。中盤からはみな一斉に肩がビクっと上がったり、息をついたりのライブ感があって、すごく快感でした。

■ホラーを観て恐怖するなんていうことがなくなったいまでも、本作は充分に面白みを感じさせてくれる作品です。これね、この系統の映画としては珍しく美術面でちゃんと凝ったものを見せようとする意欲作なんですよ。古城を思わせる石の壁や階段、謎の地下トンネル、先が剣のようになった背の高い門など、舞台のディテールがとてもよくできているんです。他にも館の尖った塔や庭の池など、それらのものがすべて合わさって“ガース邸”というひとつの魅力的なキャラクターを成しております。これがこの映画のシンボルとなって、作品の真ん中で強い存在感を放っているわけなんです。特典映像でも詳しく語られていますが、本作はイメージのためにセットを組んだり、室内をローソクの光だけで撮影したりする、製作者たちのそういう美意識が功を奏しております。手をかけた味わいがあるんですよね。

■で、また、登場人物の全員が仮装姿であるというところも大きな評価ポイントでしてね。ブレアのコスプレはビクトリア様式のドレスにカメオチョーカーですが、これに街っぽい真っ白なダンスブーツを合わせていて、そのミックス感が洒落ております。もう一人のスター、ヴィンセント・ヴァン・パタンのほうはロビンフッドで、これもブーツが脱げた下からは二本線のスポーツソックスが現れたりして、そうやって時代をごちゃ混ぜにさせたようなヒネリが二重マルなわけです。このファンタジーもどきの画作りというか、現代の人間がお城の中で昔の服装をしてクラシックなモンスターに追われている錯誤の感覚に遊びがあって、現実から離れた愉しさを感じさせてくれます。ヴァン・パタンが中世風のひらひらしたシャツで警察署へ駆け込む姿なんかもちょっとSF映画の一場面のようで、センスの良い画となっておりました。

■それにしてもこの映画のヴァン・パタンはチャーミングですよね。金髪の長髪、軽い笑顔、マッチョなボディ、ハート模様のトランクス、なんだかココナツの香りがしそうなイメージ。昔、深夜に時々放送してくれた『イエスタデイ』も、もう一度観たいなあ。これはテーマ曲の<スマイル・アゲイン>がいい曲で、映画音楽の番組でかけてくれるのをラジカセで録って、よく聴いていたっけ。

 

■本作はチラシのデザインもいいですね。白く浮かび上がるほっそりした腕、つたい落ちる鮮血、ロザリオのような装飾が施されたゴールドの鍵。そして、藍色をバックにした真っ赤なタイトル。配色が美しくて二重マルです。怪奇&エレガントのイメージで、作品内容をうまくあらわしています。

 

パンフより。いい画をたくさん持っている映画です。

写真と文字の配置がグッド。

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