『ディメンシャ13』~コッポラ&コーマンによる、ちょっとだけカルトなB級スリラー

原題:DEMENTIA 13

1963年 75分 アメリカ/監督,脚本:フランシス・フォード・コッポラ/製作:ロジャー・コーマン/出演:パトリック・マギー/引用画像:アメリカ版ポスター(ポスター本より)

□アイルランドの古城に住むハロランという家族。彼らは金持ちだったが、みな少し変わっていた。ある夜、ハロラン家のジョンと妻のルイーズが池でボート遊びをしているとジョンが心臓発作で急死する。ジョンが母親のハロラン夫人よりも先に死ぬと自分には遺産が入らないため、ルイーズはあわてて死体を池に放り込んで死亡の隠ぺいを図った。ルイーズにとってこの家族は謎だらけで、幼くして他界した末娘・キャサリンの死についてもいまだによくわからない。キャサリンの命日には夫人、そして息子のリチャードとビリーがまるで儀式のようなやり方で弔(とむら)っていたが、娘を深く愛していた夫人はその最中にいきなり卒倒してしまう。塔の上から様子を見ていたルイーズは夫人のキャサリンにたいする思いを利用して取り入ろうとする。

■監督がコッポラ、製作にロジャー・コーマン。この二つのビッグネームのちょっと意外な取り合わせによって、昔から名前だけは通っている作品です。ただし、秀作でもない普通の出来具合の白黒低予算B級スリラーの類いなので、映画ファンを自負される方以外には眠たくなるだけかもしれません。一般的な評価をするなら★★☆くらいが妥当じゃないでしょうか。

■自分としては夢中にさせてもらえるほどではないけれども、時の経過によって醸成されたヴィンテージ感も好ましいし、一応は面白さのある作品です。ハロラン家の主治医のパトリック・マギーが探偵の役回りで、このひとが登場すると映画に個性がついて、そこから質が上がりますしね。持っているワンコインDVDは画質が悪いんですが、それでもロケーションの魅力も伝わってきます。機会があればHDであらためて鑑賞してみたい作品です。

■派手めの描写でお客さんを呼びたい映画なので、本作には下着姿のルイーズめがけて斧が何度も振り下ろされ、傷だらけの死体となって犯人に引きずられて行く場面があります。それに、庭をうろついていた猟師がやはり斧で首を飛ばされる瞬間もあって、ちゃちいながらもそれなりにクリーピィです。ルイーズの設定や殺され方は『サイコ』からのイタダキですが、ヒッチコックと違って予算も時間も美意識もなく、いかにも三流っぽい気分のハイライト・シーンなのが逆にマルなんですよね。キャサリンを模した不気味な等身大人形や、後に『ファンハウス 惨劇の館』がヒントにしたと思われる玩具と効果音の描写など、拾っていけば端々に小さな見所があったりもします。ちなみに原題の“DEMENTIA(認知症)”という言葉ですが、劇中で機能障害の設定や話題は出てきません。おそらくこれは殺人者の頭がおかしくなっている状態をあらわしているのでしょう。コーマンさんは商売人だから、ここも“PSYCHO(きちがい)”のイメージにあやかろうとしたに違いありませんね。音に強いインパクトがあって、とてもいいタイトルです。

ヴィンテージ感   ★★★☆

パトリック・マギー ★★★★

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