『スクリーム』~ロミオは血まみれ

原題:SCREAM

1996年 111分 アメリカ/監督:ウェス・クレイヴン/脚本:ケヴィン・ウィリアムソン/出演:ネーヴ・キャンベル スキート・ウーリッチ ドリュー・バリモア/大阪・梅田東映パラスにて鑑賞/引用画像:チラシ(蒐集品)

□緑美しい田舎町で恐ろしい事件が起こった。ウッズボロー高校に通うケイシー(ドリュー・バリモア)が死神の仮装をした何者かに襲われ、腹を裂かれて木に吊るされたのだ。翌日、高校前に集まる報道陣を見て、同じクラスだったシドニー(ネーヴ・キャンベル)は別のある事件を思い出して憂鬱になる。彼女にはちょうど一年前、母親を刺し殺されるという痛ましい出来事があった……。

■殺人映画が出がらし状態になってから数年後、ちょっと変わり種のスラッシャーとして登場し、好評を博したのが本作です。過去の恐怖映画をいろいろとなぞるような作風が楽しく、当時、脚本を書いたケヴィン・ウィリアムソンが一躍時の人となりました。『スクリーム』はスラッシャーものとしては、見せ場以外の部分もそれなりに練っている労作です。残酷なだけではなく、コメディへの転調を何度も繰り返して飽きさせないようにする努力があって、一般受けしやすい映画だといえるでしょう。今回あらためて鑑賞してみたところ、昔と同じように面白みを感じることができました。そこで、引用元など気づいたことを二三。

※この先からは結末にふれております

■まず、犯行の動機や人間関係、特別な日(本作ではシドニーの母親の命日)に向けて進む物語である点などをみると、作品のベースになっているのは『誕生日はもう来ない』だと思われます。そして、ウーリッチの役名が“ビリー”なのは、これは『暗闇にベルが鳴る』から引っ張ってきたんでしょう。イタ電が共通アイテムですね。ちゃんと名の通った女優であるバリモアが冒頭のエピソードで惨たらしく殺されてしまう意外性と、殺人犯が二人=二重性となっている構造は、おそらくヒッチコックの『サイコ』。ナイフ&おもちゃの白マスクによる殺人という部分はカーペンターの『ハロウィン』かな。それと『ハロウィン』からは他にも、大胆な引用の仕方をしておりますね。『ハロウィン』の中で、マイケル・マイヤーズがローリーの乗った車を尾行するシーンがありますでしょ? あそこでは車のラジオからブルー・オイスター・カルトの<死神>が意味ありげに流れているんですが、『スクリーム』でもそのカバー曲が挿入されていて、ビリーが初めて登場してシドニーの部屋でいちゃつく場面で忍び込むように流れてくるんです。これ、タイトルとサビが「死神を恐れちゃだめさ」と歌う曲なので、カンが良い人間なら映画が始まって15分後に、「えっ、ひょっとしてバリモアちゃんを殺したさっきの死神マスクってコイツ?」って、うっかり気づいてしまうわけですよ。洋楽好きにとっては、これはちょっと意地悪な仕掛けです。ちなみに<死神>は『さまよう魂たち』のエンディングでも別のカバーが流されておりますね。ピーター・ジャクソンも元はマニア系の監督なので、この曲をチョイスしたんじゃないでしょうか。

■『スクリーム』は、当初は97年の6月に公開するはずでした。大阪のキタでは梅田ロフトの下のテアトルで上映する予定でしたが、神戸の事件が起こったために2カ月ほど延期になったんです。その後、劇場が梅田東映パラス(いや、ピカデリーだったかな?)に変更となって公開されたという経緯もありました。

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