『ピラニア』(1978)~海が静かになった時…川で恐怖が始まった!

原題:PIRANHA

1978年 93分 アメリカ/監督:ジョー・ダンテ/脚本:ジョン・セイルズ/出演:ヘザー・メンジース ブラッドフォード・ディルマン

□キャンプに出たカップルが失踪したため、依頼を受けた女性調査員のマギーは彼らが消息を絶った山奥のとある地域を訪れる。現地で知り合ったポールというアル中気味の男性に協力を頼み謎の施設に忍び込むと、そこには失踪者のバックパックが残されていた。マギーは遺体がプールの底にあるのではないかと思って水を抜くが、その場所の正体は米軍の研究施設だということがわかる。二人は生物兵器として飼われていたピラニアを、水と共に川へ解き放ってしまったのだ……。

■見た目にお金をかけていないB級ものですが、脚本・演出・演技がうまく噛み合っている映画で、結構出来がいいんです。ハイライトとなるピラニアの襲撃描写にちゃんとパニック感とグロテスクがあるし、マギーとポールのやりとりもコミカルで、この手の映画としては珍しく退屈しません。展開をリードするのが女性キャラの方であるというところが面白く、留置場を脱走する場面でも行動派のマギーにイニシアチブがあって、そういったヒネリが功を奏しております。

■ダンテ作品の常連となるベリンダ・バラスキーやディック・ミラーが出ているのも、ダンテのファンにとっては楽しいポイントだと思います。とくにバラスキーは小さな役なのに印象に残る扱いで、ピラニアに襲われて水中にススウーッと消えていくイメージなんか、とても悲しいんですよね。『アメリカン・パロディ・シアター』のダンテ担当エピソードでは主役をやっていましたし、ひょっとして友達なんでしょうか? 『グレムリン』では二人の子供を連れて、意地悪なディーグル夫人に支払いを待ってとお願いするママさん役でした。

■クレジットを見ると特殊効果部門では、ロブ・ボッティンとか、フィル・ティペットとか、クリス・ウェイラスとか、80年代に花形となる人々の名前が出てきますね。ピラニアが人間の手足に噛みつく描写は細かい編集で構成されていて姿は一瞬しか映りませんが、刃物みたいな白い歯や、イガイガした面構えが凄く不気味です。そして、そこに被さる“ピルピルピルピル……”という襲撃音ね、これがまた効果絶大なんですよ。この効果音は子供の頃に月曜ロードショーで観たときから、ずっと忘れることなく耳に残っていたりします。ほかには、軍の研究施設の場面で本筋にまったく関係のないクリーチャーが出てきてモデル・アニメーションでウロウロしてみたり、本作は造形物の演出においても満足度が高くて合格点だと思います。作り手たちのB級映画にたいする愛情がよく伝わってくる良作ですね。

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