『レポマン』~フライ,フライ,フライ, ダーティ・ブルヴァードを飛び去って

原題:REPO MAN

1984年 92分 アメリカ/監督:アレックス・コックス/出演:エミリオ・エステベス ハリー・ディーン・スタントン/引用画像:チラシ(蒐集品)

□オットー(エミリオ・エステベス)はロサンゼルスに暮らすパンクの青年だ。イヤなことが続いてムシャクシャしながらぶらついていると、バッド(ハリー・ディーン・スタントン)というヘンなおっさんにレポマンの片棒を担がされて駄賃をもらった。金もないし、オットーはバッドの誘いにのってレポマン稼業に足を突っ込むことにする。ある日、街へ入った64年型のシェビー・マリブを回収すれば報酬は2万ドルという情報が駆け巡り、周りが騒がしくなる。しかし、そのマリブには大きな秘密があった。なんとトランクに宇宙人の死体を隠した、やばい代物だったのだ。

■レポマンのレポは“repossession”の略。これは差し押さえるという意味。つまり、ローンを滞納して知らん顔している人間から車を奪取してくるのが彼らの仕事なわけです。チラシ裏の情報によれば、コックス監督は映画に携わる前に実際にレポマンとして働いていた時期があったとのことなので、そのときの経験をもとにした作品なんでしょう。本作がジャンル分けされる際はSFに入っておりますが、物語の本質はSFではなく、社会の底の方でゴミのように生きている役立たずやチンピラどもが織り成す風変りなコメディです。貧乏で無学で、いくら夢を見ても結局は足止めをくらわされている場所から出ることもなく終えるような人々を、距離を置きながらスケッチしております。ただし、監督は彼らを笑いものにするわけではありません。「どうしようもない連中だろ? でもヤツらだって人間なんだぜ」というような眼差しで描いていて、温かみがあるんですよね。

※次の段落はネタバレしています

■で、結末もかなりの甘口というか、波長が合えばそこには優しさを感じます。天国の神様なんて本当はいないから、この汚い街から救い出してくれるヤツがいるとすれば、それはきっとUFOに違いない、という意味のラストでしてね。この感覚、すべてのものから見放されたと思ったことのあるひとなら、ちょっとうなずけるんじゃないでしょうか。本作にSFらしさを期待すると肩透かしになりますが、不思議なテイストの人間ドラマとしては充分におもしろみがあります。マニア向けというよりは、映画好きなひと向け。

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