『摩天楼はバラ色に』~マイケル・J・フォックスのアクティブな艶コメディ

原題:THE SECRET OF MY SUCCESS

1986年 110分 アメリカ/監督:ハーバート・ロス/出演:マイケル・J・フォックス ヘレン・スレイター/大阪・OS劇場にて鑑賞/引用画像:チラシ,前売半券(蒐集品)

□成功を夢見てカンザスの田舎からニューヨークへと出てきたブラントリー(マイケル・J・フォックス)だったが、出勤初日に会社が乗っ取りにあってクビ。しかたなく大会社の社長を務める遠縁のおじを頼り、なんとかそこの配送部に入れてもらうことに。エグゼクティブへの道には程遠い部署に配属されたものの、若さと自信に溢れている彼は夢をあきらめる気なんてさらさらない。解雇された重役のオフィスが空いたままなのをいいことに、架空の重役となってその部屋を使い始める。はたして、ブラントリーの二重社員生活はうまくいくのだろうか? そして、一目惚れした女性重役・クリスティ(ヘレン・スレイター)との恋の行方は?

■『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の公開で、日本でも人気に火のついたマイケル・J・フォックス。かなりの童顔なので映画雑誌ではキュートなアイドル扱いでしたが、じつは1961年の生まれ。なので、実際は大人の男だったんですよね。おそらくマイケル自身も学生のイメージは卒業して、そろそろ幅を広げていかなきゃと思っていたことでしょう。で、この映画です。ここでは社会人一年生の役で、トップを目指す野心家という設定。しかも艶笑(えんしょう)もの。マイケルは少年のイメージを棄てにかかったんですね。

■本作は男と女のメイクラブをめぐってのゴタゴタを中心に据えたお話しなので、笑いのハイライトは、ほとんどそっちのネタ。ブラントリーくんは社長の奥さんと交わると、お次は社長の愛人さんと交わるという、なかなかヘビーなことをやらかします。だって社長の奥さん、遠縁ではあっても一応親戚のおばさまじゃないですか。ふつうは「誘われちゃったしなあ」では済まんよ。原題を訳すと<ボクの“せいこう”の秘密>だし、なんだ、いい駄洒落になってるじゃないか、とかいろいろ。でもまあ、これがまったく迷いのないアクティブな演出によって上手くまとめられているもんで、クククと何度も笑っちゃうんですよ。スレイターとのキス・シーンにしても前戯のようにネチっこくて、あともう少しで下品さ全開になりそうな雰囲気ですが、そういったリビドーの湿り気を馬力のあるロックが一気に押し流してしまいます。さすが軽薄なのがウリの80年代ムービー。とにかく明るく元気な演出が功を奏しておりました。あと、オープニング・タイトルとエンディングの作りも画がグッド。ポップな感覚です。

■で、結局、マイケルの役者としての幅はどうなったのかというと、本作のあとも『再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ』や『カジュアリティーズ』などでさらに違う路線を模索されていましたが、ぎりぎりマイケル・J・フォックスでも大丈夫というくらいで、イメチェン大成功とまではいってなかったように思います。なので、『さまよう魂たち』で久々にハマっている感をみせてくれたときには、ファンとしてホッとしましたよ。

マイケルのすばしっこさ ★★★★★

パワフルな楽曲     ★★★★★

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