『ジョーズ』~ポスターやCMによる引き込み方も、すごく巧みな映画でした

原題:JAWS

1975年 124分 アメリカ/監督:スティーヴン・スピルバーグ/音楽:ジョン・ウィリアムズ/出演:ロイ・シャイダー リチャード・ドレイファス ロバート・ショウ/大阪・梅田グランド劇場にて鑑賞/引用画像:ポスター本より

□田舎町の海水浴場を獰猛なサメが襲い、地獄絵図となる。警察署長、若い海洋学者、偏屈者の漁師が小さな漁船に乗り込んで沖へと向かうが、敵の大きさは8メートルもあり、怪物としかいいようのない破壊力で攻撃をしかけてきた。

■まだ国鉄の時代。東淀川駅のあたりに、車内の乗客へ向けて線路の敷地内に映画の看板を設置している場所がありました。小さい頃、電車に乗せてもらったときはいつも、今日はいったいどんな絵が描かれているのかと楽しみにしていたポイントだったんです。大昔なので他の看板は思い出せませんが、そこに当時のトラウマ映画となった『ジョーズ』の看板があったことだけはよく覚えています。

■『ジョーズ』のポスターって、静かな感覚にしてあるのが巧妙なんです。海の魔物がそっと忍び寄る図で、裸で泳ぐ若い女性は身に迫る危険にまったく気づいておらず、彼女の真下にがばっと開いた巨大なサメの口にはノコギリみたいな歯が並んでいる。このきれいなひと、きっと噛みちぎられるんやろなと誰もが確信しますよね。絵の状態は静なのに、見る人間の頭の中では動の惨劇、血まみれの最期が必ず浮かぶ、なんともグロテスクなデザインです。女性が素っ裸であるという無防備さもサディズムを強調させるし、そんでまたこのサメの絵って、なんとなく男性の形をイメージさせるんですよね。なので、よけいに不気味に見えてしまうわけなんです。

■この映画を梅田グランドで観たのが6歳のとき。おもしろいとかハラハラするとか、そういう娯楽のよろこびを通り越してしまう映画で、とにかくギョッとなる恐ろしい画の連続でした。子供心にとくにショッキングだったのは、黄色いゴムボートの少年が襲われて水面から赤い海水が勢いよく噴き上がる場面。ここは、歳のいった母親がまだ幼い息子を失ってうろたえる姿も悲痛です。ちゃぷちゃぷと機嫌よく遊んでいたワンちゃんが、くわえていた棒切れだけを残して消えてしまうのもせつないし、スピルバーグはほんとに強烈な演出をしよります。血をくゆらせながら水底に落ちていく、スニーカーを履いたままの右脚なんていうのも怖かった。検死場面での左前腕のプロップもえらく精巧だし、他にも血を使う描写がやたらと多く、はっきりと悪趣味ホラーを意図して作られております。6歳でこれを観たあと、二年間は海に行くのを本気で嫌がりました。

ショック演出 ★★★★★

役者の顔ぶれ ★★★★★

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