『フェノミナ』~クランキー・サウンドを聴いてはみたが…

原題:PHENOMENA

1984年 111分 イタリア/監督:ダリオ・アルジェント/出演:ジェニファー・コネリー ドナルド・プレザンス/大阪・梅田グランド劇場にて鑑賞/引用画像:チラシ二種,前売半券(蒐集品)

□人気俳優の娘が寄宿学校へ入学する。彼女は孤独だったが不思議な力があり、虫たちに護られているように見えた。危機に陥ると、空を覆い尽くさんばかりの昆虫軍団がどっと押し寄せてくるのだ。ある夜、夢遊病で徘徊しているときに目の前で殺人が起こり……。

■クランキー・サウンドなるふれ込みだったので、友達のチューナー内蔵型ウォークマンを借りて、いざ梅田グランドへ。ですが、ヘッドホンで聴いていても劇場スピーカーの音量の方がはるかに大きくて、効果があるのか無いのかぜんぜん判らないんです。まあ、おそらくは普通のものとたいして変わらないステレオ音声だったんでしょう。鑑賞は初日の夕方。お客さんが結構いて、ロビーも混んでました。

■本作、この手の残酷映画としては感覚がエロ汚らしくないのが特徴でしょうか。ちゃんと人体を刺しもするし斬りもするし、後半ではジェニファーちゃんが腐乱死体でシチューみたいになった貯水槽へ突っ込んだりもするんですが、彼女が穢(けが)されてしまう感じが、まったくしないんですよね。これ、理由のひとつめは、ジェニファーが多くの場面で白い服を着ているのが、この時期の彼女の個性と相まって、純潔のかたまりのように見えているからだと思うんです。白をまとった美しさによりホラームードの邪念がはじかれて、シンボリックなくらいにピュアなものとして映っておるんです。ここでは本作の前後の作品にはない、一瞬だけの少女美が輝きを放っているという感じですよ。で、次はやはり、アルジェントの視線が男性的ではないという理由からでしょうね。この監督、猟奇性は強いんですが、女性を視る目がいやらしくありません。作品に男性のことが好きな男性がしょっちゅう出てくるし、アルジェントはじつはそっちの人なのかなとか思ったりもします。

■で、ジェニファーちゃんはこの作品と同時に日本の映画雑誌ではアイドル女優として大きく扱われて、付録に水着ポスターが付いたりしましたが、清純派路線のためビキニではなくワンピースでした。そのあとテクニクスのコンポのキャラクターにもなって、たどたどしい日本語でCM用ソング<愛のモノローグ>なんかも歌っていましたね。夜、FMを聴いていると「ウツクシク・キコエル・ノワ アイシテ・イル・カ・ラ」と澄んだ歌声が聞こえてきて、癒しのムードになったものです。

■本作のチラシは横と縦の種類があって、半券も別の柄。この頃はファンタスティック映画ブームだったので、宣伝に力を入れていたんですね。ガシャーンとガラスを顔面で叩き割っている女の子の図がアルジェント映画らしいアピールでマル。個人的には散策風ジェニファーの半券が好きです。

アイドル感  ★★★★★

チンパンジー ★★★

テーマ音楽  ★★★★

 

 

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